【盲点】1回目の相続税「ゼロ」が一番危ない?二次相続で大損しないための計算術_111

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はじめに

「お父さんの相続税は、お母さんが全部継げばゼロになるから安心だね」 そう思っているなら、少し立ち止まってください。

実は、1回目の相続(一次相続)で税金を安くしすぎたことが原因で、数年後の2回目の相続(二次相続)において、子どもたちが数倍の税金を払わされるケースが後を絶ちません。

相続税対策のゴールは「目の前の納税を減らすこと」ではなく、**「家族が最終的に支払う税金の総額を最小化すること」**です。今回は、プロが必ず検討する「二次相続」のポイントを解説します。


配偶者控除の「甘い罠」:目先の節税が将来の増税を招く理由

配偶者には「1億6,000万円、または法定相続分までなら非課税」という非常に強力な特例(配偶者の税額軽減)があります。これを使えば、多くの場合、1回目の相続税はゼロになります。しかし、ここには3つの大きな落とし穴があります。

1. 2回目は「最強の武器」が使えない

二次相続(母の相続)の際、当然ながら「配偶者」はもういません。1回目で使えた「1億6,000万円の非課税枠」が消滅するため、ダイレクトに税率が跳ね上がります。

2. 基礎控除の額が減る

相続税の基礎控除は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算します。

  • 一次(父): 母 + 子2人 = 4,800万円

  • 二次(母): 子2人 = 4,200万円 このように、相続人が1人減るだけで、非課税で受け取れる枠が600万円も減ってしまいます。

3. 母の「もともとの財産」と合算される

お母様自身がもともと持っていた貯金や不動産がある場合、一次相続で引き継いだ父の遺産と「合算」されます。相続税は累進課税(財産が多いほど税率が上がる)ため、合算された結果、予想もしない高い税率が適用されることになるのです。


【事例比較】一次と二次でこれだけ違う!

例えば、父の遺産が1億円、母の固有財産が2,000万円、子どもが2人のケースで比較してみましょう。

  • パターンA:一次相続で母が100%相続した場合

    • 一次相続税:0円(配偶者控除)

    • 二次相続税(母の1億2,000万円):約1,400万円

  • パターンB:一次相続で母50%、子50%で分けた場合

    • 一次相続税:約315万円

    • 二次相続税(母の7,000万円):約320万円

    • 合計納税額:約635万円

なんと、700万円以上も差が出る結果となりました。目先の「ゼロ円」に惑わされると、トータルで大損をすることがわかります。


二次相続を見据えた「賢い遺産分割」の戦略

では、どうすれば良いのでしょうか?ポイントは以下の3点です。

  1. 子どもに「収益物件」や「現預金」を先に渡す 将来値上がりが期待できる資産やキャッシュを生む資産は、一次相続で子どもが継いだ方が、将来の母の財産膨張を防げます。

  2. 「小規模宅地等の特例」の使いどころを見極める 自宅の評価を8割下げるこの特例を、一次と二次のどちらで使うのが有利か。土地の価格推移や同居状況を考慮したシミュレーションが必要です。

  3. 二次相続までの「期間」を考慮した生前贈与 母から子への生前贈与を早めにスタートさせることで、二次相続時の課税対象を計画的に減らしていきます。


まとめ

相続税の申告は、一度提出してしまえば終わりですが、その「分け方」の結果は数年後に必ずやってきます。

「とりあえず配偶者控除で」という提案ではなく、「家族全員の将来をシミュレーションした提案」をくれる専門家を選んでください。それが、大切な資産を次世代に守り継ぐ唯一の方法です。

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投稿者について

松尾大志

■九州・福岡県出身 1979年11月生まれ 妻と子3人家族 犬好き 
■松尾大志税理士事務所 代表税理士 所属:東京地方税理士会 平塚支部 登録番号:143396
■税理士試験5科目官報合格 
合格科目 簿記論・財務諸表論・法人税法・消費税法・相続税法
■事務所経営の傍ら、㈱TAC税理士講座「相続税法」非常勤講師を兼務
■平均年齢65才以上といわれる税理士業界では、若手に分類されるアラフォー税理士です。
若さを活かしフットワークの軽い、話の分かる税理士であることを信条にしています。
■相続税申告、生前贈与対策、事業承継対策、準確定申告、贈与税申告、不動産評価、未上場株価評価、相続手続き代行を中心にお客様の安心のためのお手伝いをさせていただいております。ご要望を傾聴し、心に寄り添えるような仕事を目指しています。
■経歴
・相続税申告100件以上、株価評価100件以上、不動産評価100件以上の相続税評価実績あり
・東証一部上場企業㈱キャピタルアセットプランニングにて、相続事業承継コンサルティング業務に従事
・複数の税理士法人にて相続税申告、事業承継対策、法人税申告、所得税申告、消費税申告、財務経理アドバイザリー業務に従事
■これからの展望
・不動産好きが高じ、ついに不動産鑑定士の資格取得を決意。2024年合格予定? 事務所経営の傍ら日々勉強中
税理士×不動産鑑定士のダブルライセンスを目指す。相続税申告、生前贈与対策、不動産評価、株価評価に特化した組織経営を目標に一歩ずつ日々前進しております。
連絡先 e-mail:matsudai1117@gmail.com ☎090-5481-8126※営業の電話は固くお断りします。お仕事のご依頼お見積りご相談専用の電話番号です。

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