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はじめに
「父が亡くなったけれど、遺言書がなかった。でも、家族みんな仲が良いから大丈夫」 相続実務の現場で、もっとも耳にする言葉です。しかし、遺言書がない場合、不動産の名義を誰かに変えるためには「相続人全員による合意」と「遺産分割協議書の作成」が必須となります。
合意が取れたはずなのに、いざ書類にすると「やっぱり自分にも権利があるはずだ」と主張が変わったり、書類の書き方が間違っていて法務局で門前払いされたりと、現場は混乱の極みです。今回は、失敗しない遺産分割の進め方を解説します。
なぜ「遺産分割協議書」が必要なのか?
遺言書があれば遺言書の内容に従うだけで済みますが、ない場合は全員の話し合いが必要です。これを作る最大の目的は「将来のトラブル防止」と「法的手続きの完遂」です。
不動産の登記: 法務局での名義変更には、協議書がないと受け付けてもらえません。
預金の解約: 銀行は、協議書がないと、どの相続人にいくら振り込むべきか判断できず、口座を凍結したままにします。
相続税申告: 誰がどの財産を相続したかが確定しないと、税金の計算ができません。
【実務のリアル】協議書で失敗する「よくあるパターン」
税理士として申告書を作成する際、お客様がご自身で作った協議書を拝見することがありますが、その多くは修正が必要です。
財産の記載が曖昧: 「実家の土地と建物」と書くのはNGです。登記事項証明書(登記簿謄本)通りに、地番や家屋番号を正確に記載しなければ、登記手続きはできません。
代償金の支払い条件: 「兄が土地を相続し、弟に300万円を支払う」と合意しても、「いつまでに」「どのような方法で(振込先など)」支払うかを明記しないと、後々「払った・払っていない」の水掛け論になります。
プロの連携(税理士×司法書士)の価値
相続不動産は、ただ登記を変えれば良いわけではありません。「相続税の節税(小規模宅地等の特例)」を適用できるかどうかは、登記の仕方と分割の仕方に大きく左右されます。
当事務所では、司法書士と連携し、「税金が最小になる分割案」を設計した上で、法務局で確実に受理される「完璧な遺産分割協議書」を作成します。二度手間を防ぎ、余計な税金を払わない。この連携こそが、プロに依頼する最大の価値です。
申告期限までに分割できない場合は?
「話し合いが長引いて、10ヶ月の申告期限までに分割がまとまらない!」 そんな時は慌てず、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付して提出してください。これにより、とりあえず申告は法定相続分で行っておき、あとで分割が確定した際に税金の再計算(更正の請求)が可能になります。
まとめ
遺言書がない相続は、いわば「見取り図のない家づくり」です。協議書という設計図なしに、複雑な権利関係を動かすことはできません。
「自分たちで書けるかな?」と少しでも不安に思ったら、相続が落ち着いてしまった後に後悔する前に、まずは一度相談してください。登記と税務、両面からの視点で、あなたの相続を完璧に仕上げます。
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