【生前贈与の落とし穴】「申告すれば安心」は勘違い?最新の贈与税ルールの賢い付き合い方_134

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相続対策の「王道」が変わった?贈与税申告の光と影

「とりあえず毎年贈与税の申告をしておけば、税務署も認めてくれるはず」。 相続税の相談現場でよく聞く言葉です。しかし、専門家の立場から言えば、贈与税の申告書を出したからといって、イコール「贈与が適法に認められた」という免罪符にはなりません。

税務調査において当局が見るのは、申告書の有無以上に「贈与の実態が伴っているか」という点です。形式的に申告書を提出しても、実態が伴わない「名義預金」であれば、無慈悲に否認されるリスクは常に残っています。

2026年現在の「7年ルール」の正しい理解

2024年の税制改正により、相続財産への「持ち戻し期間」が段階的に最長7年へ延長されました。

  • 2026年現在は: 実質的に「3年ルール」が適用される最後の時期です。

  • 2027年以降は: 順次、加算対象期間が4年、5年…と延びていき、2031年以降の相続では完全に「7年ルール」が適用されます。

「今はまだ3年だから大丈夫」という甘い予測は危険です。2027年以降に相続が発生すれば、遡って加算対象となる期間が確実に拡大するため、今から「7年後を見据えた資産の動き」をシミュレーションしておく必要があります。

贈与税を「あえて申告」するメリット・デメリット

贈与税の申告を行うことには、「申告期限内に適正な税金を納めた」という記録を残すメリットがあります。しかし、以下のリスクを無視してはいけません。

  • 調査リスクの誘発: 申告を行うことで、逆に税務署側のデータベースに「贈与の事実」が明確に記録されます。もし贈与の実態が不十分(預金の管理が贈与者本人のまま等)であれば、それが調査の引き金になることもあります。

  • 「実質贈与」の壁: 税務署は贈与契約書があるかどうかも見ますが、それ以上に「受贈者が自分の意思で預金を管理・運用しているか」という実態を重視します。申告書はあくまで「記録」の一つに過ぎません。

結局のところ、申告書という「形式」を整えるよりも、「預金口座の分離」「管理権の移転」「契約の裏付け」といった、実態を固める作業の方が、よほど税務調査への強力な防護壁となります。

今後の贈与戦略:特例に頼らず「確実な資産移転」をするために

「教育資金の一括贈与」のような期間限定の特例制度は、制度そのものの終了とともに使えなくなりました。これからの相続対策は、特定の特例に依存せず、いかに「贈与の継続性」を担保するかが勝負です。

  1. 相続時精算課税制度の積極活用: 令和6年の改正で新設された「年110万円の基礎控除」を使い、暦年贈与の持ち戻しルールを回避しながら資産を移転する手法が、現在最も堅実な選択肢の一つです。

  2. 「孫」への移転: 孫は原則として相続税の持ち戻し(7年ルール)の対象外です(代襲相続人や養子の場合を除く)。世代を飛ばした資産移転は、相続の回数を減らすという点でも非常に合理的です。

専門家が教える「動かぬ証拠」の作り方

私たちが申告の現場で何よりも重視するのは、「贈与の足跡」です。

  • 毎回、贈与者の口座から受贈者の口座へ、明確な記録を残して送金しているか。

  • 贈与契約書(贈与の都度作成することが望ましい)を保管しているか。

  • 受贈者がその資金を「自分のもの」として自由に使っている実態があるか。

まとめ:贈与は「制度頼み」ではなく「確実な契約」で守る

生前贈与は、単なる「税金の払い方」の問題ではありません。親から子へ、あるいは孫へ、どのような意図で資産を引き継ぐのか。その「意思」を、税務調査にも耐えうる「事実」という形に落とし込むこと。それが、今の時代に求められる相続税理士の仕事です。

「申告書さえ出せば大丈夫」という時代は終わりました。これからは、制度の改正に翻弄されず、家族の資産を長期的な視点で守り抜く、計画的な承継を始めましょう。

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投稿者について

松尾大志

■九州・福岡県出身 1979年11月生まれ 妻と子3人家族 犬好き 
■松尾大志税理士事務所 代表税理士 所属:東京地方税理士会 平塚支部 登録番号:143396
■税理士試験5科目官報合格 
合格科目 簿記論・財務諸表論・法人税法・消費税法・相続税法
■事務所経営の傍ら、㈱TAC税理士講座「相続税法」非常勤講師を兼務
■平均年齢65才以上といわれる税理士業界では、若手に分類されるアラフォー税理士です。
若さを活かしフットワークの軽い、話の分かる税理士であることを信条にしています。
■相続税申告、生前贈与対策、事業承継対策、準確定申告、贈与税申告、不動産評価、未上場株価評価、相続手続き代行を中心にお客様の安心のためのお手伝いをさせていただいております。ご要望を傾聴し、心に寄り添えるような仕事を目指しています。
■経歴
・相続税申告100件以上、株価評価100件以上、不動産評価100件以上の相続税評価実績あり
・東証一部上場企業㈱キャピタルアセットプランニングにて、相続事業承継コンサルティング業務に従事
・複数の税理士法人にて相続税申告、事業承継対策、法人税申告、所得税申告、消費税申告、財務経理アドバイザリー業務に従事
■これからの展望
・不動産好きが高じ、ついに不動産鑑定士の資格取得を決意。2024年合格予定? 事務所経営の傍ら日々勉強中
税理士×不動産鑑定士のダブルライセンスを目指す。相続税申告、生前贈与対策、不動産評価、株価評価に特化した組織経営を目標に一歩ずつ日々前進しております。
連絡先 e-mail:matsudai1117@gmail.com ☎090-5481-8126※営業の電話は固くお断りします。お仕事のご依頼お見積りご相談専用の電話番号です。

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